2009/06/14(Sun) 13:
40:23
「沢田……綱吉……?」
「あ、10年前の骸だ。おめでとー!」
10年前だから16かー若いなーとのほほんと続けるのは確かに沢田綱吉のはずだ。
だが僕の知っている彼とは明らかに違う点がある。
身長差はいくらか小さくなっているし、顔立ちからは幼さがいくらか抜けている。
そして何よりも、僕の知る沢田綱吉と異なっているのは、その表情だ。
にこにこと笑みを浮かべて余裕さえ感じる。
僕を見ればびくびくと怯え、不安の色を宿していたはずの瞳は、楽しげな色を浮かながらも、その奥に見透かせないほどの深みを持っていた。
「何であんなところに10年バズーカがあるのかなーとは思ってたんだけど、壊れたから修理待ちだったんだな」
「……それに、10年後の僕が当たったと……」
「そうそう。骸がこんなものにこけた上に当たるなんて、俺のサプライズ作戦は成功だったってことだよなー」
喜んで貰えたようで何よりだよ、と満面の笑みを浮かべる彼を見て、十年後の僕は随分と彼に遊ばれているらしいことを悟る。信じ難いことだが。
「……何をしたんです?」
「今言ったらサプライズじゃなくなっちゃうだろ?」
尋ねる僕に10年後の沢田綱吉は、にっと不敵な笑みをこぼす。10年前の彼にはない表情だった。
彼は10年で随分とマフィアらしい狡猾さを身に付けたらしい。しかし不思議なことに、そのことへの嫌悪は湧かなかった。ただ、それを身に付けさせたのがアルコバレーノであろうことだけが僕を不快にさせる。
「それにしてもお前、びっしょびしょだなあ」
「……あんな所にいて濡れていなかったら、僕の全身には随分と優秀な防水加工がされていたことになりますね」
ぶっきらぼうに言った言葉に彼は笑って、僕の手を両手で包み込むように握った。
「冷たいな」
振りほどいてやろうかと思ったのに、彼がぽつりと呟いた言葉にタイミングを逃す。
僕の手をじっと見つめる彼を見ていると、なんだかむずがゆい様な心地を感じて目を逸らした。
しばらく僕の手を握り続けた後、彼はぱっと顔を上げて再び満面の笑みを浮かべる。
「ちょっとごめん」
嫌な予感に身構える前に、軽く言った彼が首に腕を回して抱きついてきた。
「ちょっと! なんですか!!?」
「いやー、今日暑いのに骸に気付かれないように部屋の空調切ってたからさ、暑くて仕方なくて!」
「僕を冷房代わりにしないで下さい! それに、濡れますよ!」
「いいってー。濡れるとかより今は涼しさを取りたいし」
僕の肩に顔を埋めて離れる気のなさそうな言葉に僕は諦めて、彼の腰に腕を回す。
正直な話、冷えた体に彼の体温は心地よかった。
「……ごめん」
先ほどの軽い『ごめん』とは違う響きを感じて、言葉の続きを待つ。
「……ちょっと、助けるのが遅くなっちゃうんだ。……ごめん」
「別に期待していません」
僕の言葉に、彼はそっと顔を離す。窺えた表情は見慣れたものだ。不安を含んだ表情。
きっと彼の根本は変わっていない。臆病で、弱くて、そして何よりも優しい。
「期待はしてないですけど、誕生日のプレゼントだったら受け取らないわけにもいかないですからね。待っててあげますよ」
彼は目を見開いてぱちくりと瞬きし、次いでやっぱり骸はいつの時代でも骸だ、と声を出して笑った。
「……笑いすぎですよ」
どうやら笑いのつぼにはまったのか、再び僕の肩に顔を埋めて、ひーひー言いながら笑う彼に、僕は少し口を尖らせる。
苦しげに咳き込む彼の背中を叩いてやるとやっと少し落ち着いたのか顔を上げた。
「誕生日おめでとう、骸! 必ず助けるから、ちょっと待っててくれよ!」
そう言う彼の笑顔は、今日見た中で一番のものだった。周りの者を惹きつけ、幸せにする笑顔。
ずっと、こんな風に笑っていて欲しい。そう願わずにはいられない笑顔だ。
そっと手を伸ばして、彼の頬に触れる手前で止める。
……そろそろ、時間だろう。
耳元で大きな音がした次の瞬間には、暗い水牢の中だった。
冷たい水に包まれて、彼から貰った熱がどんどんと逃げていくのがわかる。
きっと彼に触れていた感触も、すぐに水に洗い流されてしまうだろう。
あの優しい温かさを忘れてしまう前に、彼に、沢田綱吉に、会いに行こうと思った。
*************************************************
ぐだっとムク誕話。
なんかまとまらなくてぐだっとしてしまいましたが久しぶりにツンデレな骸を書けて満足です^^
骸がまだ自覚してない感じ。
素っ気ないことを言いながら離れろ的なことは決して言わない、ツナをこっそり大好きすぎる骸がいいと思います
「あ、10年前の骸だ。おめでとー!」
10年前だから16かー若いなーとのほほんと続けるのは確かに沢田綱吉のはずだ。
だが僕の知っている彼とは明らかに違う点がある。
身長差はいくらか小さくなっているし、顔立ちからは幼さがいくらか抜けている。
そして何よりも、僕の知る沢田綱吉と異なっているのは、その表情だ。
にこにこと笑みを浮かべて余裕さえ感じる。
僕を見ればびくびくと怯え、不安の色を宿していたはずの瞳は、楽しげな色を浮かながらも、その奥に見透かせないほどの深みを持っていた。
「何であんなところに10年バズーカがあるのかなーとは思ってたんだけど、壊れたから修理待ちだったんだな」
「……それに、10年後の僕が当たったと……」
「そうそう。骸がこんなものにこけた上に当たるなんて、俺のサプライズ作戦は成功だったってことだよなー」
喜んで貰えたようで何よりだよ、と満面の笑みを浮かべる彼を見て、十年後の僕は随分と彼に遊ばれているらしいことを悟る。信じ難いことだが。
「……何をしたんです?」
「今言ったらサプライズじゃなくなっちゃうだろ?」
尋ねる僕に10年後の沢田綱吉は、にっと不敵な笑みをこぼす。10年前の彼にはない表情だった。
彼は10年で随分とマフィアらしい狡猾さを身に付けたらしい。しかし不思議なことに、そのことへの嫌悪は湧かなかった。ただ、それを身に付けさせたのがアルコバレーノであろうことだけが僕を不快にさせる。
「それにしてもお前、びっしょびしょだなあ」
「……あんな所にいて濡れていなかったら、僕の全身には随分と優秀な防水加工がされていたことになりますね」
ぶっきらぼうに言った言葉に彼は笑って、僕の手を両手で包み込むように握った。
「冷たいな」
振りほどいてやろうかと思ったのに、彼がぽつりと呟いた言葉にタイミングを逃す。
僕の手をじっと見つめる彼を見ていると、なんだかむずがゆい様な心地を感じて目を逸らした。
しばらく僕の手を握り続けた後、彼はぱっと顔を上げて再び満面の笑みを浮かべる。
「ちょっとごめん」
嫌な予感に身構える前に、軽く言った彼が首に腕を回して抱きついてきた。
「ちょっと! なんですか!!?」
「いやー、今日暑いのに骸に気付かれないように部屋の空調切ってたからさ、暑くて仕方なくて!」
「僕を冷房代わりにしないで下さい! それに、濡れますよ!」
「いいってー。濡れるとかより今は涼しさを取りたいし」
僕の肩に顔を埋めて離れる気のなさそうな言葉に僕は諦めて、彼の腰に腕を回す。
正直な話、冷えた体に彼の体温は心地よかった。
「……ごめん」
先ほどの軽い『ごめん』とは違う響きを感じて、言葉の続きを待つ。
「……ちょっと、助けるのが遅くなっちゃうんだ。……ごめん」
「別に期待していません」
僕の言葉に、彼はそっと顔を離す。窺えた表情は見慣れたものだ。不安を含んだ表情。
きっと彼の根本は変わっていない。臆病で、弱くて、そして何よりも優しい。
「期待はしてないですけど、誕生日のプレゼントだったら受け取らないわけにもいかないですからね。待っててあげますよ」
彼は目を見開いてぱちくりと瞬きし、次いでやっぱり骸はいつの時代でも骸だ、と声を出して笑った。
「……笑いすぎですよ」
どうやら笑いのつぼにはまったのか、再び僕の肩に顔を埋めて、ひーひー言いながら笑う彼に、僕は少し口を尖らせる。
苦しげに咳き込む彼の背中を叩いてやるとやっと少し落ち着いたのか顔を上げた。
「誕生日おめでとう、骸! 必ず助けるから、ちょっと待っててくれよ!」
そう言う彼の笑顔は、今日見た中で一番のものだった。周りの者を惹きつけ、幸せにする笑顔。
ずっと、こんな風に笑っていて欲しい。そう願わずにはいられない笑顔だ。
そっと手を伸ばして、彼の頬に触れる手前で止める。
……そろそろ、時間だろう。
耳元で大きな音がした次の瞬間には、暗い水牢の中だった。
冷たい水に包まれて、彼から貰った熱がどんどんと逃げていくのがわかる。
きっと彼に触れていた感触も、すぐに水に洗い流されてしまうだろう。
あの優しい温かさを忘れてしまう前に、彼に、沢田綱吉に、会いに行こうと思った。
*************************************************
ぐだっとムク誕話。
なんかまとまらなくてぐだっとしてしまいましたが久しぶりにツンデレな骸を書けて満足です^^
骸がまだ自覚してない感じ。
素っ気ないことを言いながら離れろ的なことは決して言わない、ツナをこっそり大好きすぎる骸がいいと思います
トラックバックURL
http://yamanashi1584.blog93.fc2.com/tb.php/153-c78c990e
| top |

